翡翠アート 作品<番外>
完成した翡翠アート 作品<番外>を紹介します。
翡翠アート 作品<番外>
僕は勾玉の制作はしませんが、試してみたい事がいろいろあったので手持ちの勾玉を使って表現してみました。前回の作品から象嵌を本格的に作品に取り入れて制作していますが、1から制作していないので『JADE "翡翠" × SILVER』<番外>として紹介します。
今回使用する翡翠の勾玉は、比較的コンパクトにできていて、僕が今まで制作している作品ともサイズ感も似ていて抵抗なく作業ができました。勾玉を僕なりの表現で作品にしたものです。
翡翠アート 作品<番外>
SIZE: 20.0mm * 19.7mm * 9.0mm
MATERIAL JADE(GREEN),SILVER
勾玉には基本的な形はあるのですが、なかなか個性がでにくいように思えます。なんでこのカタチなのかとか、全体的に作り変えるというのも考えましたが、最終的には『目』の部分のみ作り変えました。
『目』は人と同じようにチョット変えるだけで印象が違ってきます。今回は左右で『目』の感じ変えて表情を作っています。
翡翠アート 作品<番外>【拡大】
作る機会があれば、今度はもっと表情豊かに表現したいかな…
作品<番外>の振返り
自分が作っていないモノに手を加えるのは抵抗があったが、まだいろいろ試す時期なので、あるモノをどんどん使って今後の作品に取り入れていこうと思った。最初から最後まで自分で作ると、それなり時間も労力もかかるのが悩みどころ。
作りたいモノに少しは近づいた気はするが、まだモヤモヤする。
僕の存在を知らない人が、『なんの為にこんな作品を作ったのだろう?』と気に止める人が現われた時、やりたかったことの一部は達成できたかな。
僕にとって作品作りは、自身が存在していた痕跡であり、興味の赴くまま何かを創造したいという思いをカタチにしているだけ。
翡翠アート 作品#9、#10
完成した翡翠アート 作品#9、#10を紹介します。
翡翠アート 作品#9
この作品はどの位薄く作れるものなのかと興味があったのでやってみたモノです。もう少しやろうと思ったのですが、時間をかければ以外にいけることがわかったので、限界に挑戦するのは改めてやりたいと思います。
写真では分かりませんが、持った感じは、僅かに重さを感じますがもう石ではなく別の素材に感じます。0.5mm~0.8mmが平均的な厚みです。
翡翠アート 作品#9
翡翠アート 作品#9【拡大】
成型していく過程で、石の厚みがなくなっていくと色味もなくなっていきます。作品の形状により素材の質感も重要なようです。
翡翠アート 作品#10
『JADE "翡翠" × SILVER』として制作した作品になります。ベースになる形状は見た目はあまり変わらないようにみえますが、少し作り方を変えています。
・表/裏がある。
象嵌を施したほうが表になります。
波の高さが違います。表側は波が低くできています。
・上/下がある。
象嵌を施したほうが下になります。
波の幅が違います。下は幅が広くできています。
・少し厚みがある。
厚みは象嵌を施すことを考慮して今までよりも若干厚くしています。
・あとは、仕上げの磨きも抑えている。
といったところです。石自体は白でもなく黒でもない地味で微妙な色合いですがやっぱり翡翠の結晶がとシルバーの光沢がいい感じです。
もっと象嵌を色々試してみたかったのですが、作品がコンパクトな為、シンプルなものになりました。シルバー(950)は0.3mmの丸線を2.4mmにカットして嵌っています。象嵌に使用する銀は純銀を使用するのが一般的ですが、今回(今後も)は950を使用しています。
翡翠アート 作品#10
翡翠アート 作品#10【拡大】
裏側はこんな感じ。波の高さの違いが判ります。
光を抑えると渋い感じにも見えます。
#10制作の振返り
石墨を含む翡翠は意外に加工しずらい?。前回サンプルで作った時よりも加工しにくく感じた。今後いくつか制作することでわかると思うのでとりあえずメモ。
翡翠アート 作品#8と次の構想(決定)
翡翠アートの8作目の状況と次の作品の構想を紹介します。
翡翠アート 作品#8
前回紹介した制作課題を淡々と解消しているところです。全体的にカット面が整ってきた為、シャープな感じになったように感じます。今回はサイズ感がわかるように1円硬貨と対比してみました。
翡翠アート 作品#8 1円硬貨対比
直径は1円硬貨よりも少し小さいくらいです。
このくらいのズームではアラはそれ程わかりません。
翡翠アート 作品#8【拡大】
拡大するとまだあるんですよね…
厚みが均等でなかったり、線がゆがんでる…
翡翠アート 作品#8 表面
多分、説明しないと気がつかないと思いますが、石の表面が銀色になっているところがあります。試験的に銀を圧着してみました。存在感はそれ程ないですが、これが次の構想に続くことになります。
完成度にまだ不満がありますが、次の作品の構想も決まりきりがいいのでこれで作業を一旦終了します。
次の作品の構想(決定)
いろいろ構想していたのですが、技術的なこともありなかなか思い通りにいかなかった構想がまとまりました。前回紹介した『JADE "翡翠" × SILVER』ついて具体的に制作してみました。まだサンプル作品ですが、それなりにできていると思っています。
翡翠に象嵌を施した作品です。象嵌は金工・木工で用いられる古くから使われている技術です。今回のサンプル作品にも金工のように金属(銀)を使用しています。埋め込む素材が金属でなく翡翠であるということです。
象嵌についての詳しい解説についてはまたの機会に紹介します。
象嵌サンプル作品#1
象嵌サンプル作品#1【拡大】
サンプルを制作するのに用意したのは、白翡翠に僅かに緑がワンポイントの石片です。クラックも石全体に入って、今まで制作してきた複雑な形を出すにはチョット難しい素材を使用します。
作業的には
①翡翠に1mm×1mmの溝を掘る。この作業が一番重要。
②同じサイズの銀の角線をカット。
③溝に角線を埋める。
④溝からはみ出した余分な角線を削り、石片を磨く。
といったところです。
象嵌サンプル作品#1 完成
象嵌サンプル作品#1 完成【拡大】
こんな感じになります。翡翠表面はマットな状態、象嵌したシルバーは鏡面とはいかないものの少し磨いていますが、それでもかなり存在感があります。
当初からイメージしていたものにかなり近いものができました。いろいろ試したいことがあるので暫くはこの構想をもとに翡翠アートを制作していくつもりです。
糸魚川で見つかる鉱物のはなし
僕が作品に使用している素材、『翡翠』と糸魚川で見つかる鉱物についていろいろお話しします。
今回はちょっと変わった翡翠と希少鉱物について紹介します。
糸魚川石
糸魚川石は和名で、鉱物名は「itoigawaite」(イトイガワアイト)。1998年に新鉱物として認可されました。日本で77番目に発見された鉱物です。
紹介する3点の石は糸魚川の海岸で見つけた翡翠ですが、翡翠に点在する僅かな青い結晶部分だけが糸魚川石です。その為、『糸魚川石を含むチョット変わった翡翠』とも言えます。
糸魚川産の翡翠から発見された新鉱物は意外に多く、蓮華石「rengeite」(レンゲアイト)、松原石「matsubaraite」(マツバラアイト)他にも数種類見つかっています。これらの鉱物は外見からは判別できないくらい微細な結晶である為、気が付かず作品に使用している鉱物があるかもしれません。
糸魚川石(糸魚川産転石)
翡翠としては、色味もなく特に綺麗なものではありませが、希少鉱物が含まれているだけで、魅力的な石になってしまいます。
糸魚川石は、翡翠のクラックに入りこむように存在するため、石の表面に面で発見されることは珍しいとのことです。(フォッサマグナミュージアムで簡易鑑定済)
糸魚川石(糸魚川産転石)
これも翡翠としては地味で綺麗なものではありません。
内部の浅い部分に糸魚川石を含んでいます。一見分かりませんが、表面を濡らして何とかわかる状態です。
研磨したり切断するとハッキリわかりそうですが、転石として見つけたままの状態で保存しておくのが僕流です。
糸魚川石(糸魚川産転石)
前述の2点とは艶が全然違いますが、採集した場所や結晶の大きさなどによって違ってきます。青色翡翠に僅かではありますが糸魚川石が含まれています。
コスモクロア
鉱物名はコスモクロア輝石。日本(岡山)で最初に発見されたのは1996年で比較的最近のはなしです。その後、1998年に糸魚川産のコスモクロアが発見され、新聞報道により僕も存在を知りました。
所持しているものから、それらしいものをフォッサマグナミュージアムで簡易鑑定してもらい確認しています。
これらの原石の中には、1998年の発見以前に採集したものも含まれています。鉱物の存在を知らないだけで、翡翠を探している人であれば、目にしているかもしれません。
鮮やかな緑で見つけやすいのですが、手にとった瞬間、明らかに翡翠と違うため、興味がなければそのまま捨てられるような石です。僕が所持しているのも類似石として眠っていたものです。
海外ではモーシッシと呼ばれるミャンマー産のコスモクロア輝石が含まれる鉱物が産出されるが、糸魚川産とは雰囲気が違う。
コスモクロア【集合】(糸魚川産転石)
コスモクロアについても、鮮やかな緑の部分だけがコスモクロア輝石となります。
特に磨いていませんが、艶があって黒と緑のコントラストが綺麗な鉱物です。
コスモクロア(糸魚川産転石)
コスモクロア(糸魚川産転石)
コスモクロア(糸魚川産転石)
コスモクロア(糸魚川産転石)
まとめ
ちょっと変わった翡翠のはなし#まとめと同様、アートの素材には向かないモノが多いです。硬度が低いことや特有の形状であること、希少性があるものはそのままの状態にしておくしかないといったところです。
今回改めて思ったことは、作品を制作する為や鉱物を探す為だけに、手あたり次第、原石をカットしてしまうことは如何なものかということ。
僕は、制作の為に原石をカットした際、出来るだけロス少ないカットを多用し、カットでできた小さな欠片を回収してサイズ毎に小瓶で保管している。欠片も数が集まれば素材として使い道があるかもしれない。
そうした手間のかかるやり方で制作することで、時間がかかっても仕方ないか…
制作に関するこだわりなど紹介することはなかったのですが、機会があればまたはなしてみたいです。
翡翠アート 作品#8と次の構想(続)
翡翠アートの8作目の途中経過と次の作品の構想を紹介します。
翡翠アート 作品#8
最初に紹介して9ヶ月過ぎてしまいました。なんかタイトルも前回と一緒だし、進捗がないようにも思えますが、時間が空きすぎてしまったので作業の整理も兼ねて途中経過を紹介します。
作業として進んでいますが、全体を見ながら作業を進めると、どうもしっくりこないところがあり、まだまだって感じです。カット面の微妙な調整は全て手作業なのでそれも時間がかかる要因にもなっているみたいです。
翡翠アート 作品#8 途中経過
制作課題
- 全体的に綺麗に面が整っていない。写真ではよくわからいですが、よく見ると波打っていたり、斜めっていたりする。課題の大部分はこれ。
- 当初より大分カットしていますが、まだカットしたい場所あるので、もう少し面を作る必要がある。
- リング内側が未着手。この面については、作業がしにくいので後回しになっているが、全体が見え始めたのでそろそろ着手する予定です。
次の作品の構想
前回頭出しした構想です。それなりに紹介できるようになるにはもう少し時間がかかりますが、チョットだけ試作したものを紹介します。
詳しくは解説しませんが、翡翠(表面は未加工の石板です)にSERVERが埋まった状態の作品で、時間があれば石板を成型するつもりです。
『JADE "翡翠" × SILVER』(翡翠と金属)という素材の組合せが自由にできることで作品の幅が今まで以上に広がると思っています。
しかし、これも課題は沢山あってまだまだです。
ちょっと変わった翡翠のはなし
僕が作品に使用している素材、『翡翠』についていろいろお話しします。
今回はちょっと変わった翡翠を紹介します。気になるモノがあれば随時更新していきます。
圧砕翡翠
「圧砕翡翠」は、地下深くにできた翡翠原石が圧力で砕かれて、できた隙間に角閃石が埋まった状態で生成、後に地表に出て角閃石部分が摩耗したことにより、このような凹凸のある転石が形成されるようです。
「圧砕翡翠」の内部にも角閃石が存在すると思われるので、圧砕した翡翠と角閃石の集合は素材としてはユニークですが、『翡翠』をベースに考えると、不純物である角閃石は邪魔なモノとなります。
圧碎翡翠を使用する場合、角閃石も作品の一部に使用するか否かは悩ましいことだと思いますが、作品としてはそれはそれでいいかなと思っています。
圧碎翡翠原石(糸魚川産転石)
クラックは少ないがモノが小さすぎ。サイズとしては小指の先くらい。
圧碎翡翠原石(糸魚川産転石)
クラックが多いので素材としては不向き。
圧碎翡翠原石(糸魚川産転石)
色・透明感は比較的良いがクラックが多いので素材としてはチョット不向き。
圧碎翡翠原石(糸魚川産転石)
クラックも少なく素材としては問題ないが、これだけのものは中々探せないのでこのまま残しておきたい原石。
断層翡翠
「断層翡翠」という呼び名を知ったのは翡翠アートを制作し始めたころです。僕が所有している翡翠の中に、原石がズレて形成されているチョット変わった翡翠があることは知っていました。糸魚川のフォッサマグナミュージアムに展示してあるのを見てこの呼び名を知りました。
資料が少なく詳細は不明ですが、翡翠の断層で地殻変動によりズレが生じることで生成されるようです。
当初おもしろ翡翠なので何か作品に使用しようと思っていましたが、大変珍しいものということでこのままの状態で見て楽しむことにしました。
断層翡翠原石(糸魚川産転石)~スライス
断層翡翠原石(糸魚川産転石)~カット
まとめ
ちょっと変わった翡翠はアートの素材には向かないモノが多いなと実感しました。翡翠は個性が強い鉱物な為、ある一定の条件がそろえば素材として十分利用することができます。そこをあえて変わり種で制作する必要があるのか。
糸魚川で見つかる翡翠は、そのままでも十分見て楽しむこともできます。素材として利用することで、本来の石の魅力を失わないように素材を選択することが最も重要なことではないでしょうか。
翡翠アート 作品#8と次の構想
翡翠アートの8作目の制作過程と次作品の構想を紹介します。
翡翠アート 作品#8
もう既に制作開始から1か月ほど経過していますが、途中経過を紹介します。
この作品も『翡翠アート 作品#1』と同様、『波』をイメージしたものです。
まだまだ削りこみが必要で完成までにまだまだ時間がかかりそうです。
翡翠アート 作品#8
この作品もオリジナルは鋳造で制作しています。
鋳造で制作した作品
MATERIAL: シルバー950
鋳造で制作した作品
MATERIAL: シルバー950
鋳造で制作した作品
MATERIAL: シルバー950
次の作品の構想
#8までの作品はベースになるカタチは全てシルバーで制作しており、翡翠で制作することによる素材の違いを知ることが目的で、作品を制作する上での構造上の問題点などを早期に見つけ出すことにより、構想段階で作品のカタチをある程度、自分のモノにできると想定できたからです。
次の作品については、今までに制作したモノをベースに、ちょっと違うモノを考えています。今までは装飾品という枠の中で制作を進めてきましたが、もっと別の(全然別かも)モノも制作したいかなと思っています。いきなり制作するにはきついのでワックスで試作品を作るところから始めようとしています。
アートと称して作品を製作していますが、まだまだ試したいことがある。
思っているものとは程遠い。